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日本人に必要な栄養素マグネシウムとは?

日本人に必要な栄養素マグネシウムとは?

生命活動に不可欠なミネラル、マグネシウム

マグネシウムは、私達の体内では主に筋肉や骨に存在しているミネラル成分です。成人だと、平均して20g~30g程度のマグネシウムが体内にあり、その約半分はリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして、骨や歯に沈着していますね。そして残りの半分は、筋肉や神経細胞、脳細胞などに存在し、主にイオンのバランスを取る働きをします。

マグネシウムは、人間の生命活動にとっては必要不可欠な栄養成分ですね。不足するとうつ病を発症しやすくなったり、高血圧や心疾患などの生活習慣病にかかりやすくなってしまいます。

その一方で、過剰摂取しすぎると、下痢が起こりやすくなります。一般的な食生活からマグネシウムを摂取するなら、過剰摂取による副作用などは心配ありません。しかしサプリメントを使う場合には、過剰摂取となってしまうリスクはありますよね。もしも下痢が続くようなら、過剰摂取の可能性があると考えて、摂取量を調整すると良いかもしれません。

 

マグネシウムの働き

人間の体内には、数千種類以上の酵素があります。このうち、マグネシウムは約300種類程度の酵素の働きを活性化する役割を担っているわけですね。その他にも、マグネシウムにはホルモンバランスを整えたり、ホルモン物質の働きを活性化するなどの働きもありますね。体内においては、主に体内の代謝機能に大きく貢献していて、エネルギーの生産や代謝、また体内の有害物質を解毒したり、タンパク質を合成するサポートも行います。

マグネシウムには、骨の形成に大きな役割がありますね。カルシウムやリンと同様に、マグネシウムは骨や歯に沈着し、これらの健康に大きく貢献してくれます。

マグネシウムは他のミネラル成分とも相互作用があります。これは、知っておきたいポイントですね。例えば、マグネシウムはカルシウムの働きを促進することで、筋肉の収縮を制御します。血管を拡張させる働きを助けることで、血圧降下の効果も期待できます。また血小板の凝固を抑える働きにもかかわっていて、血栓が作られることを防ぐことも、マグネシウムが持つ働きですね。体内のマグネシウム量が不足すると、さまざまな疾患が起こりやすくなるほか、足がつりやすいなど不快な症状も起こりやすくなります。

 

日本人はマグネシウムが不足している?

マグネシウムは、毎日の食生活の中で摂取することができる栄養素ですよね。多く含まれている食材には、主に海藻類や魚介類などがあり、アオサなら100g当たり3,200mgのマグネシウムが含まれていますし、乾燥わかめなら100gあたり1,100mgが含まれています。桜エビや干しエビ、かたくちイワシなどの乾燥した魚介類の場合には、100g当たりのマグネシウム含有量は約200mg~500mg程度ですね。

マグネシウムを多く含む食材には、他にもごまやアーモンド、かぼちゃの種などの種実に加え、ほうれん草やゴボウなどの野菜類、きな粉や油揚げなどの豆類などが挙げられます。

日本人の食生活においては、マグネシウムの摂取量は平均1日当たり300mg程度で、これは1945年あたりから大きな変化はありません。一日当たりの摂取量の目安は、成人の場合には男性が約370mg程度、女性なら290mg程度なので、マグネシウムの摂取量に関しては、日本人はそれほど大きく不足しているとは言えないでしょう。

ただし、摂取量が十分だからと言って、安心してはいけません。マグネシウムの働きは、上記からも分かるように他のミネラル成分を協力しながら相互作用することが多いものです。そのため、マグネシウムのみを単体で摂取するのではなく、普段の食生活の中でカルシウムやリンなどと一緒にバランスよく摂取するのが効果的なのですね。

近年の日本人の食生活は、欧米化が進んでいますよね。その結果、マグネシウムの摂取量は大きく変わっていないものの、カルシウムの摂取量が増えたことで、マグネシウムとカルシウムの摂取比率が大きく変化しています。この摂取比率のバランスが崩れることによって、動脈硬化が起こりやすくなってしまいます。特定の栄養素を摂取するだけではなく、他の栄養成分のバランスを考えながらの食生活がとても大切ですね。

カルシウムを多く摂取した場合、過剰摂取となった分は尿として体外へ排出されます。しかしその際には、マグネシウムも排出されてしまいます。そのため、マグネシウムの摂取量が適切でもカルシウムの摂取量が過剰な場合には、カルシウムが排出される際にマグネシウムも排出されることによって、結果的にマグネシウムの体内残存量が不足してしまいます。

 

まとめ

人間の生命活動にとって欠かすことができない栄養素の一つであるマグネシウムは、日本人にとっては大きく不足している栄養素ではありません。しかし食生活の欧米化に伴い、カルシウムの摂取量との摂取比率が崩れやすく、その結果、カルシウムとともに尿として排出されることで不足することが懸念されています。